2021/12/09 10:00
【薬と飲み物の相互作用】グレープフルーツ
これまでに、飲み薬の正しい飲み方をお伝えしました。
これからは、なぜ、飲み合わせが悪いのかをお伝えしたいと思います。
◯グレープフルーツジュース
グレープフルーツジュースは、図にあげているだけでなく、いろんな種類の薬に影響する可能性がありますので、薬を飲んでいる間は注意が必要です。
なぜ?
薬の作用が強くでて、よくない作用が起こる可能性があるからです。
口から飲んだ薬は、大半が小腸から吸収され全身を巡って、薬としての効果を発揮します。
その過程で、体にとっては薬は異物ですので、体から外に出そうとする働きが作用します。これが、いわゆる解毒反応である「代謝」と、体外に出す働きである「排泄」の過程です。
グレープフルーツに含まれる成分は、この「代謝」の働きを邪魔します。
そのため、薬が長く体内に残るため、薬の効き目が強く出過ぎてしまいます。
さらに注意すべき点としては、この「邪魔」する働きは、長く続くという点です。邪魔する成分は、しっかりと付着してしまうので、邪魔も長く続いてしまいます。
・ジュースでなけれは、果肉を食べるのは良い?
果肉も×です。
当初は、果皮の部分にその成分があるのでは?と思われていたこともあったのですが、果肉に含まれる成分が原因だということがわかってきました。
ジュースを飲むのも、果肉を食べるのも、×です。
・他の柑橘類は?
グレープフルーツと近いものに、ザボン(ぶんたん)があります。これも×です。
原因となる成分が含まれていることがわかっています。
グレープフルーツで影響を受ける薬は、非常にたくさんあります。
中には、薬の量が少し変わると影響が大きい薬も中にはあります(免疫抑制剤の一つ)。
もちろん、薬の中には、グレープフルーツを食べていても影響は全くない薬もあります。
ただし、影響を受ける薬の種類は多いため、
基本的には、薬を飲んでいるときは、グレープフルーツ(及び、ざぼん類)は、食べないように!
お願いします。
ここでお話ししていることは、あくまでも薬を使っている期間のお話しです。
グレープフルーツはとても美味しいです。
私も大好きです。
薬を飲んでいない時は、ぜひ、食べてください!
これまでの記事も、参考になさってください。
2021.12.07 【薬の使い方】薬の正しい飲み方と、そのわけ
2021.12.08 【薬の使い方】飲み合わせが悪い薬がある飲料は?
2021.12.09 【薬と飲み物の相互作用】グレープフルーツ
2021.12.13 【薬と飲み物の相互作用】ミネラルウォーターで飲んではダメな薬?【特別編】
2021/12/08 10:00
【薬の使い方】飲み合わせが悪い薬がある飲料は?
こんにちは。こはく堂薬局です。
12月6日に投稿した記事「【薬の使い方】その薬、どう飲みますか?」の回答から。
アルコール飲料
グレープフルーツジュース
炭酸飲料
青汁
この飲み物のうち、飲み合わせが悪い薬があるのは、どれでしょうか?という質問
実は、
「全部」何かしらかの、飲み合わせが悪い薬があります。
極端な作問で申し訳ありません。
薬にもいろんな種類の薬があります。薬が体内に入ってから、外に出ていくまで、どこかの過程で影響を与える可能性があります。
与える影響の強さも様々です。影響がないものから、少しだけ影響がある場合、大きく影響する場合、
または、薬そのものが、厳密に調節をしないといけない薬の場合は、少しの影響でも見逃せません。
なので、基本的には、「水か白湯」で飲んでください、と説明するわけです。
これまでの記事も、参考になさってください。
2021.12.07 【薬の使い方】薬の正しい飲み方と、そのわけ
2021.12.08 【薬の使い方】飲み合わせが悪い薬がある飲料は?
2021/12/07 10:00
【薬の使い方】薬の正しい飲み方と、そのわけ
まずは、正しい飲み方をお伝えします。
飲み薬は、基本的に、
コップ一杯の、
水か白湯で飲んでください。
ただし、これは、あくまでも原則です。
中には、水分摂取量を制限されている方など、この原則には当てはまらない方もいらっしゃいます。
あたりまえでしょ、とか、なんとなくそう思っている方も多いと思います。
中には、水なしでも飲める!という方もいらっしゃると思います。
◯なぜ、「コップ一杯」なんでしょうか。
飲み薬は、口から飲んだ後、食道から胃を通り、小腸に到達し、大半の薬は小腸で吸収されます。
吸収された薬は、血液の流れにのって、全身をめぐり、薬理作用を発揮します。
吸収されるとき、消化管の動きで運ばれながら、消化液と混ざり、錠剤やカプセルは細かい固まりにバラバラにされ、分散または溶解した状態になると、吸収されやすくなります。
ここで、カプセルを飲んだことがある方は想像できるかもしれません。指先を軽く濡らして、カプセルを触ると、指先にくっついてしまいます。くっついた指先に水をかけると、さらりと外れます。
このように、唾液が十分出ているような人は、粘膜に薬もくっつきにくいのですが、
唾液が少ない方(特に、高齢者など)は、薬も粘膜にくっつきやすい傾向にあります。
このように、コップ一杯の水には、
①薬を吸収される部位へと送り届ける
・口内や食道などに付着させないように
②薬をしっかりと溶かして、吸収させる
という意味があります。
口や食道に付着して残ると、炎症を引き起こしたり、薬の効果が正しく得られない原因になります。
◯なぜ、水か白湯、なのでしょうか。
薬と飲み物の組み合わせによっては、化学反応などが起こる場合があります。
代表的なものには、前回にお示ししたようなものがあります。
組み合わせによっては、
・薬の効果がなくなるもの
・薬の効果が強くですぎて、よくない作用をもたらすもの
があります。
それらを防ぐために、基本的には、水か白湯で飲むことが推奨されています。
いろんな組み合わせがありますので、また、次回以降で説明します。
◯例外は?
この飲み方は、あくまでも原則です、と申し上げました。
前述したように、例えば、腎臓や心臓の病気のために、1日に摂取する水分量を制限していらっしゃる方もおられます。
そのような方の場合、一口くらいの少量の水でも、薬がしっかりととけるように工夫された剤型の薬を使用するなど、工夫されています。
また、薬を飲みやすくするために、あえて、水以外の飲料で飲むことを推奨される場合もあります。
このように、薬の飲みやすさも、いろいろと工夫されていますので、
・薬が飲みにくい
・ひっかかるような感じがする
など、気になる点は、ご相談ください。
これまでの記事も、参考になさってください。
2021.12.07 【薬の使い方】薬の正しい飲み方と、そのわけ
2021.12.08 【薬の使い方】飲み合わせが悪い薬がある飲料は?
2021/12/06 09:00
【薬の使い方】その薬、どう飲みますか?
こんにちは。こはく堂薬局です。
病気の治療のためや、症状を和らげるため、大切な薬ですが、
その期待する効果を得るために、正しく使うことも、非常に大切です。
ここでは、薬の正しい使い方と、その「なぜ」について、
できるだけわかりやすくお伝えしたいと思います。
そこで、さっそく、クイズです。
画像に、いくつかの飲料をお示ししました。
この中には、飲料と飲み合わせが悪い薬があるものがあります。
どれだと思いますか?
でも、実は、例示した飲料だけではないんです。。。。
2021/12/03 09:00
【アンチドーピング】2022月1月からの変更点に注意
アスリートの皆さんの日頃の成果を発揮される姿には、心から尊敬と感動を覚えます。
そんなスポーツのフェアプレーの精神を尊重し、自分の身体を守るため、
気をつけないといけないことのひとつに、“アンチ・ドーピング”があります。
中でも、“うっかりドーピング”には注意が必要です。
病気の治療のために使用した医薬品が、実はドーピングで禁止されていた!という事例のことです。
病気の治療目的で使用したとしても、
競技能力に影響を与える可能性がある薬や方法は、
世界アンチ・ドーピング規程で、禁止物質・禁止方法として規制されています。
目的が治療目的かどうかは関係ありません。
スポーツをする皆様には、アンチ・ドーピングの観点から、禁止物質・禁止方法を使わない治療をしなければなりません。
その世界アンチ・ドーピング規定は毎年1月1日に改訂されます。
2022年1月1日からの改訂内容のうち、注意すべき点の一つを今回ご案内します。
ーーー
「S9. 糖質コルチコイド」の規則が厳格化されます
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「糖質コルチコイド」とは、いわゆる副腎皮質ステロイド薬と言われ、
過剰な免疫反応や炎症反応を鎮めるために、いろんな疾患の治療で使われています。
今までは、「全身に作用を及ぼすような投与経路」が「競技会検査」で禁止されていました。
(2021年12月まで)経口、経直腸、静脈注射、筋肉注射
(2022年1月から)
・全ての注射経路が禁止になりました(局所注射も禁止経路に加えられました)
・ウォッシュアウト期間が定められました
「ウォッシュアウト期間」とは、体内に入った物質が、尿や便中など、体外に出てしまうまでに要する期間のことです。
つまり、競技会の時に禁止物質が体内に残っていない状態を保つため、大会が近くなったら注意が必要です。
詳しい内容は、2022年の世界アンチ・ドーピング規程の日本ご飯が正式に公開されてからお伝えしたいのですが、一つだけ。
薬局薬剤師が声を大にしてお伝えしたいのが、「トリアムシノロン アセトニド」という物質です。
なぜ、これをあげるかと言うと、市販されていることがあるからです。
もちろん、この薬には治療には良い薬です。
市販薬として使われる場合、口内炎の治療薬として、塗り薬や口内に貼る薬として、市販されている薬に、「トリアムシノロン アセトニド」を含むものがあります。
しかし、これは
大会前の30日以内には、使ってはいけません!
口内に使うための、塗り薬・貼り薬であってもです。
軟膏などは、使った後も家に置いておいて、調子が悪くなると自己判断で使う・・・
という使い方をされることがあります。
そのような使い方をしてはいけません!
ただし、治療目的で使用するため、禁止物質を使わないと治療できない!という場合には、申請をして認められたら、使用できる場合があります。治療を受けているところで、しっかりと相談されてください。
スポーツマンの方は、市販薬を購入するときにも、必ずお薬手帳を持参されてください。
そして、お薬手帳には、「ドーピング禁止物質でないか確認してください」とあらかじめ書いておくと安心です。
心配なことは、ご相談ください。
注釈)
*1 世界アンチ・ドーピング規程・・・世界ドーピング防止機構(WADA)が定めたルール。毎年1月1日に改訂される。日本ドーピング防止機構(JADA)が日本語版を作成している。
*2 競技会検査・・・禁止物質・禁止方法は、“常に禁止されるのか”、“競技会検査で禁止”されるのか、二つに分類されています。世界レベルで活躍しているトップアスリートは、競技会外検査の対象であるため、常にアンチ・ドーピングの注意が必要です。
*3 治療目的での使用・・・治療のために必要な場合、全てを禁止するものではあります。その場合、TUE(治療使用特例)申請を行い、認められると使用できる場合があります。
これまでに書いた記事も、よろしければ、ご参照ください。
こはく堂薬局のホームページ >薬局・薬剤師とは >スポーツファーマシスト
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Special thanks
◯イラスト:イラスト AC https://www.ac-illust.com(阿部モノさん、miyukiiiさんのイラストをお借りしました)